b-2)アルカロイドの蓄積に関する研究

 植物体ではアルカロイドは特定の器官に蓄積されています。例えばオウレン植物体では、生合成は主に根で起こるものの蓄積は根茎で行われます。どのような分子がアルカロイドでの輸送と蓄積に関与しているのか、ベルベリンを生産するオウレン及びアキカラマツ培養細胞を用いて、生化学的、分子生物学的解明を行っています。

  これまでに、オウレン細胞でのベルベリンの取り込みにABCタンパク質が関与するという結果を得ており、 そのcDNAの単離と異種細胞での発現から、CjMDR1が根茎におけるベルベリンの蓄積に寄与していることを示す結果をえております(J. Exp.Bot., 53; 1879, 2002 PubMed=12177126, J. Exp.Bot., 52; 877, 2001 PubMed=11413226Shitan, N. et al., Involvement of CjMDR1, a plant multidrug-resistance-type ATP-binding cassette protein, in alkaloid transport in Coptis japonica. Proc. Natl.Acad.Sci., 100:751-756 (2003)。一方、細胞内での蓄積部位である液胞への取込みには、アンチポーターが機能していることを示唆する結果が明かになってきております(Ohtani, M., et al., Characterization of vacuolar transport of the endogenous alkaloid berberine in Coptis japonica. Plant Physiol., 138: 1939-1946. 2005


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